2020年03月06日

サッカーは神話である

私も時々本を読みます。決してサッカーばかりしている訳ではありません。そして、たまには少し読み応えのあるものも読むこともあります。そんな一冊として最近読んだJ.キャンベル&B.モイヤーズの『神話の力』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)を紹介します。

その第1章「神話と現代の世界」の書き出しを引用します。
“人々はよく、われわれは生きることの意味を探っていると言いますが、人間がほんとうに探究しているのは、たぶん生命の意味ではありません。人間が本当に求めているのは、<いま生きているという経験>だと思います。純粋に物理的な次元における生活体験が、自己の最も内面的な存在ないし実体に共鳴をもたらすことによって、生きている無上の喜びを実感する。それを求めているのです。”
私たちは『今、生きているという実感』を求めているのだというのです。そして、“神話は、われわれがどんな時代にあっても、真理を、意味を、重要な価値を探し求めている、その物語です”と、モイヤーズも述べています。キャンベルは、“神話を読むことです。神話はあなたに、自己の内面に向かうことができるのだ、と教えてくれます。”とも言っています。
作家の冲方丁氏の解説から引用して続けます。
“キャンベルは言う。「神話は、もしかすると、自分が完全な人間になれるかもしれない、という可能性を人に気づかせるんです。」(第5章 英雄の冒険)”
“完全な人間とは何か。それはキャンベルによれば、自分が生きているという経験をする人間である。では生きているとは何か。自己の内面において、知らねばならない価値、すなわち個人の至福と出会い、それに従うということである。ではその内面にある価値、個人至福とは何か。それは個人の幸せの経験を待つしかない。”

神話を失わせようと迫ってくる現代社会において、一人一人が自分自身の“神話”を持つために、“生きている無上の喜びを実感”できる経験が必要だ。そのとおりだ。私にとって、その無上の喜びとはサッカーではないのか。サッカーは私にとって“神話”であるのか。
何かを達成する達成ために、例えば全国大会出場や一流プレーヤーを育てることを目的にサッカーをするのでない。ただ、サッカーを極めていくためにサッカーをする。そこに人間としての本質の経験がある。この本を読みながらそんなことを考えていました。
Fútbol es el mito mismo.(サッカーは、神話そのものである。)スペイン語で書いてみましたが、間違っているかもしれません。ほとんどが引用だけの記述になってしまいましたが、興味をもたれた方は、ぜひ本書を読んでみてください。

※この文章は、バレンシア・アカデミー和歌山校のブログにも掲載しています。
  


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2020年01月31日

県大会、頑張れ!

ソラティオーラ和歌山の小学生年代の各チームが、日ごろのトレーニングの成果を発揮すべく県大会に出場します。
会員みんなで応援しましょう!

[海南FCジュニア]
全員6年生のチームです。今年のチームは、セレクション・メンバーではなく6年生全員のチームです。
ずっと同じメンバーで何年間もいっしょに成長してきました。
U-12年代最後の県大会で、思いっきり戦ってきてください。


大会名=少年サッカー県リーグ決勝大会
期日=2月29日・3月1日
会場=新宮市ヤタガラス・グラウンド
対戦未定

[KFCソラティオーラ]
15人全員5年生のチームです。海南海草予選を1位で突破して、2020シーズンのトップ・リーグの出場権を獲得した勢いで大会に臨みます。


大会名=日刊スポーツ杯 関西小学生サッカー大会 和歌山県大会
期日=2月8日・9日
会場=紀三井寺公園陸上競技場
初戦の対戦=2月8日 10:50 対.岩出FCアズール

[ソラティオーラU-12]
アカデミー・コースの会員とスクール4年生の合同チームです。5年生3人、4年生15人、3年生2人で、第1ピリオドと第2ピリオドで選手全員入れ替えでの3ピリオド制の大会で、海南海草予選を接戦で勝ち抜き、クラブから初めての出場権を得ました。

大会名=JA全農杯 全国小学生選抜サッカー IN関西 和歌山県大会
期日=2月2日
会場=橋本市運動公園多目的グラウンド
初戦の対戦=2月2日 11:50 対.岩出FCアズール

  


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2019年12月31日

2019年も、たくさんの仲間たちとサッカーを楽しみました

今日は大晦日、今年もソラティオーラでいっぱいクラブ・ライフを楽しんでもらえたでしょうか?
それぞれのカテゴリーの活動は、カテゴリーのブログで担当スタッフから報告してもらっていますので、クラブ全体について記しておきます。

バレンシアCFオフィシャルアカデミー和歌山校と連携して、世界基準を目指して活動することを目的に「ソラティオーラU-12アカデミー・コース」をスタートさせました。協会へのチーム登録名は「ソラティオーラU-12」として、4年生チームと合同でU-11リーグに参戦しました。
5年生が3人で4年生が主体のチームでしたが、どの試合もほぼ対等に戦うことができました。
現時点でアカデミー・コースの会員は、5年生3人、4年生5人、3年生2人の10人ですが、2020シーズンは、6年生3人、5年生8人、4年生2人の13人で活動を始め、「U-12ホップリーグ」に参加する予定です。
このコースから、世界に飛び出していくプレーヤーを輩出することが、私たちの夢です。




ソラティオーラは、「総合型地域スポーツクラブ和歌山県協議会」に加盟しています。
サッカー以外のスポーツ活動とも交流して、視野を広げていきたいと考えています。
10月6日、南山スポーツ公園で開かれた「50mダッシュ大会」に参加して、正式な陸上競技大会で使用される計測機械による50m走の記録会に参加しました。100人以上の参加者がありました。


ソラティオーラでは、誰でもいつまでもサッカーを楽しめるクラブであることもミッションの一つにしています。
11月30日には、「Over-50フェスティバル」に参加し、準優勝の好成績を収めることができました。


カテゴリーを超えてクラブ全体の会員の交流を目的に、年に2回、春の「アウトドア・パーティー」とともに、秋の「フットボールデー」を開催しています。
今年は、11月16日に海南市民運動場で好天の下、楽しく開催することができました。
当日は、ゲームのほか、KFCソラティオーラの保護者の皆さんのお世話で「クラブ特製豚汁」も作っていただきました。
最後は、全員参加の大ビンゴ大会で締めくくりました。



2020年も、ソラティオーラ和歌山でいっしょにサッカーを楽しみましょう。
皆さん、良いお年を!
  


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2019年08月06日

“楽しむ”って、どういうこと?

7月30・31日の二日間、バレンシアCF育成部門の所属コーチによる「VCFサマー・クリニック」に、ソラティオーラの小学3年生から中学1年生とバレンシア・アカデミー和歌山校生が合わせて約70人が参加しました。このイベントは、今年で16回目を迎えました。参加者にとっては、本場バレンシアCFで実際に行われているトレーニングを実際に体験する貴重な機会になっているし、ソラティオーラのコーチ陣にとっては、スペイン式の指導方法を学び、自分の指導力を磨いていくまたとない機会になっています。
今年来日された、アルフレド・ラモス・コーチは40歳で、UEFA PRO(ヨーロッパ最高位のコーチ資格)の資格を持ち、アメリカやイタリアでも指導経験のある、とても明るく愉快な性格のコーチでした。また、スペインでもよく日本食を食べるということで、箸の使い方もとてもこなれていました。


私が直接担当しているバレンシア・アカデミー和歌山校生が受けたセッションでは、ラモス・コーチから何度も“¡Perfecto!”(完璧!)と声がかかって、とても嬉しかったです。中谷コーチからも、和歌山校のアカデミー生は、明らかに進歩している。この調子で続けていってもらいたい、と言っていただきました。和歌山校のコーチとして、指導メソッドに自信を持ち、同時に大きな責任をあらためて感じました。アカデミー生のみんなと、もっともっとレベル・アップを目指していきたいという決意も新たにしました。
ところで、ラモス・コーチにバレンシアCFの指導方針を少し聞かせてもらった時に、プレーヤーが“disfrutar”することがとても大切だと言っていました。「楽しむ」という意味ですが、意味は、私たちが普通に使う「楽しむ」とは、少し違うように思いました。


テレビで私たちが見聞きする「楽しむ」というのは、例えば、こんなシーンです。「優勝できてうれしいです。全国大会では、もっと楽しんできたいと思います。」とか、「今日は勝てて良かったです。次の試合も楽しみたいです。」とか、「オリンピックという大舞台を思い切って楽しみたいと思います。」とかです。「ここまで、苦しい練習に耐えてきました。」とか、「しんどくて何度もやめたいと思ったけれど、頑張ってきて良かった」というインダビューはよくあるけれど、「ずっと今日までトレーニングを楽しんできました」とか、「ワールドカップ本番までの道のりを楽しみたいです」というインダビューはあまり聞いたことがないですね。
私が感じてしまうのは、「楽しむ」のは、しんどいトレーニングの先にあるものであったり、緊張を無理にほぐすためのまじないのような言葉が「楽しむ」に無意識のうちに込められた意味合いではないかということです。ラモス・コーチが“disfrutar”という言葉を使う時の文脈は、明らかにそれとは違います。


手元の和西辞典で「楽しむ」を調べると、“disfrutar”と“divertir”という言葉が出てきます。“divertir”は、楽しませる、気を晴らすという意味の他動詞です。“Esa película me divirtió mucho.”(その映画は大変面白かった。=その映画は、私を大変面白がらせた。)という例文が載っています。私の解釈では(間違っているかもいるかもしれませんが)、“divertir”は、何かの刺激にに対して、受け身的に「楽しむ」という意味なのかなと思います。
一方、“disfrutar”は自動詞で、用例として“disfrutar con una película”(映画を楽しむ。conは、英語のwithのような言葉=私は、映画という手段で楽しむ)が載っています。自分が自らの意思として何かの対象に対して主体的、積極的に働きかけ、その行為自体を「楽しむ」という意味合いがあるのではないかと考えています。
「楽しむ」ことができるのは、苦しいトレーニングを乗り越えた先にあるものという考えではなくて、日々のトレーニングそのものを「楽しむ」。全国大会とか、オリンピックなどのひのき舞台を楽しみたいと思ったら、毎日の厳しいトレーニングにひたすら耐えなければいけない、という文脈での言葉ではなくて、プレーヤーが日々のトレーニングやサッカーに関するすべてを自分の主体的な意思として「楽しむ」。そのためのサポートをするのがコーチの役割である。特に、育成年代にあってはそうでなければならない。ラモス・コーチが見せてくれたバレンシアCFの指導方針の図解にあった“disfrutar”とは、そんな意味ではないかと考えました。


私たち、育成年代のコーチは、自分が行うトレーニングが、小中学生プレーヤーが自分から主体的に積極的に取り組もうと思ってしまう内容になっているか、プレーヤーが“やらされ感”を持ってしまうトレーニングになっていないか、しっかりと見直していきましょう。プレーヤーが“disfrutar”しているかどうかは、トレーニングしている時のプレーヤーの目を見れば誰でも分かります。例えば、小学生プレーヤーが二人一組対面のコントロール&パスの練習を何分間も“disfrutar”できるでしょうか。そんな練習を続けていくことで、私たちがプレーヤーから“disfrutar”する経験を奪って、スポーツとは、苦しいことを乗り越えていくものという感覚をプレーヤーに刷り込んでいることはないでしょうか。
ソラティオーラでのトレーニングやゲームなどすべての活動を、小中学生のプレーヤーが“disfrutar”しているか、そこにこそ、ソラティオーラが他のクラブとの質的差異を生み出し続け、“100年クラブ”への道を歩み続けていけるかどうかがかかっていると、私は今考えています。
  


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2019年07月19日

KFCジュニア、優勝。これが、ソラティオーラだ!

KFCジュニアが、県タイトルを獲得した。第50回和歌山県スポーツ少年団総合競技大会で優勝した。協会に登録しているすべての少年チームが出場している大会ではない。しかし、どんな大会でも優勝するというのは、かなり難しい。正直、びっくりした、驚いた。

何に驚いたかって。理由は二つ。一つは、今年の6年生は低学年の時から人数が上の学年に比べて少なく、セレクションを行っていないチームであったこと。もう一つは、トップ・リーグ入りを目指した新人大会で、バレンティアとミラグロッソとの対戦で、どちらかの試合であと1点得点をあげるか、1点失点を防ぐかすればトップ・リーグ入りのチャンスがあったのに、“あの1点、この1点”を逃したばかりにトップ・リーグ入りを果たせなかった勝負弱さを見せていたからだ。そのような勝負弱さは、チームの体質になりやすい。私はチーム・スタッフに、この勝負弱さを克服することが、このチームの最大の課題だろう。しかし、それはなかなかに難しい、と新人大会の後話したことがある。

それを、このチームは短期間に見事に克服した。見事と言うほかない。スポ少大会の一つ前、オークワ・カップの地区予選の最中、なぜか突然変身し始めた。地区予選から県大会1回戦まで、何とPK戦3連勝! スポ少大会決勝戦を入れるとPK戦で4連勝だ!

PK戦4連勝それ自体も驚異的だが、PK戦に持ち込む粘り強さを身に付けたことが、何より素晴らしい。PK戦狙いのゲーム・プランで試合に臨んでいるのでは決してない。ギリギリの勝負を挑みながらのPK戦である。PK戦は、総力戦である。3人でのPK戦は、いきなりのサドンデス方式に近い。一つの失敗がすぐ結果につながりやすい。だから、3人のキッカーの安定したシュート力と精神力が必要だ。人数が少ない分、4人目以降のサドンデスに入りやすい。4人目以降の力も大切だ。ゴールキーパーには、3人の内一つを阻止する高い集中力が要求される。そうした意味で、PK戦は総力戦だ。

総力戦とは、すなわちチームワークである。チームワークとは、単なる仲の良さではない。チームのために、ということは、自分も含めたみんなのために、自分の役割を全力で果たそうとする意識である。それでも、相手チームも全力をかけて勝負に出てくる。それに勝つことはもちろん素晴らしいが、結果が伴わなかった時の行動、結果にかかわらず勝負してくれた相手チームへのリスペクト、そうしたものすべてにチームワークのレベルが表れる。

『物語(ストーリー)は、すべて未来において語られる。』その時々の結果は、その時点での評価だけで終わるものではない。新人大会での勝負弱いという評価は、乗り越えた課題というストーリーの一節に、今書き換えられた。それを成し遂げたのは、プレーヤーたちの頑張りとチーム・スタッフの献身的な指導の賜物だ。

と言うだけで、話を終わらせない。まだあと二つ、付け加えておきたい。
一つは、壁を乗り越える力を発揮させた背景に、先輩諸君の実績というクラブの歴史があるのではないか。ここ何年間か毎年のように、全国大会や関西大会への出場であったり、県大会でもファイナルに出場したりしている。自分たちも、それに続きたいという思いやプライドはあったはずだ。クラブとしての県大会優勝の経験がなかったら、PK戦4連勝はなかったのではと思わざるを得ない。クラブとして持っている力は、絶対に大きい。

もう一つ、今回の優勝を“過去の栄光”にしてしまってはいけない、ということだ。『物語(ストーリー)は、すべて未来において語られる。』ということは、成果の後についても当てはまる。「せっかくあの時は、頑張ったのに」ということになってしまえば残念だ。成果を残して一つ上のステージに進めば、さらに強い相手が待っているのは、どんなゲームの世界でも同じである。KFCジュニアの諸君には、立ち止まることのないさらなる努力を期待したい。

第50回和歌山県スポーツ少年団総合競技大会の成績
[予選リーグ]
2-0 Vs.有田保田   2-0 Vs.紀伊
[1位リーグ]
4-1 Vs.セレソン   2-1 Vs.貴志川
[決勝戦]
1-1 延長戦0-0 PK戦3-2 Vs.伏虎

次のステージは、8月2425日京都府山城総合運動公園で行われる「第38回近畿ブロックスポーツ少年団サッカー交流試合大会」だ。頑張れ!

  


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