2020年06月01日

クラブは“生命体”? 《動的平衡》って、何?

 まだまだ元通りというわけにはいきませんが、とにもかくにもやっとサッカーができるようになりました。再び活動休止という事態にならないことを祈るばかりです。
 新型コロナウイルスの影響で、思うようにサッカーができなくなってから3か月。長かったですね。この間、皆さんどんなふうに過ごしてきましたか? 室内で、一人でできることをやってみようといわれても、すぐに対応できる人は少なかったのではないでしょうか。
 私自身は、3月は「この先どうなっていくのだろう」と右往左往しているうちに過ぎ、4月は「今できること、今やるべきことを何か考えなくては」とあれこれ考えながら過ごし、5月近くなってから、やっと動き出したような状況でした。
 クラブの子どもたちが、ちょっとしたスペースで一人でもできる自主トレのメニューを考えて、映像で見てもらえるようにYou Tubeへの投稿の仕方を教えてもらい、会員のみに限定公開するのにかなりのエネルギーを使いました。
 例年、この時期はクラブの決算にかなりのエネルギーと時間を要するのですが、今年は思いのほかスムーズに処理できたので、余った時間とエネルギーを読書に回しました。普段から読書量はそんなに多くなく、月3冊のペースですが、4月は4冊、5月はなんと9冊読みました。月間9冊は、自分史上最多ではないかと思います。軽いエンタメ小説からちょっとしたものまでいろいろですが、その中から『新版 動的平衡』(福岡伸一著、小学館新書)を紹介します。

 いきなりですが皆さん、「クラブの実体とは何でしょうか?」 ソラティオーラの大本である海南FCの運営を私が引き継いだのが25歳の時ですから、それから40年間クラブ運営に当たってきました。2021年にはクラブ創設50周年を迎えます。そして、“100年クラブ”を目指して活動中です。時々、クラブとは何だろうか、クラブの実体とは何だろうか、バレンシアCFのように100年を超える歴史を持つクラブは、何をどのようにして維持し、発展させてきたのだろうか、そんなことを考えることがあります。
 プレーヤーやコーチはどんどん入れ替わっていきます。サポーターも世代交代していきます。サッカーの内容も戦術も変わっていきます。しかし、バレンシアCFも海南FCも時間の長短はあれ、変わらずに存在し続けます。活動を停止し、解散したクラブも当然あるでしょう。私たちが“100年クラブ”を標榜するとき、どんなことを考えながら活動していけばよいのか、そのヒントを与えてくれたのが福岡伸一氏の“動的平衡”という言葉です。

『新版 動的平衡』から、いくつかの記述を引用させていただきます。

◇合成と分解との動的な平衡状態が「生きている」ということであり、生命とはそのバランスの上に成り立つ「効果」である…。(同書P.80)

◇生命は、機械のようにいくつもの部品を組み立てただけで成り立っているわけではという、厳然たる事実がある。(P.145)

◇私たちの身体は分子的な実体としては、数カ月前の自分とはまったく別物になっている。……そこにあるのは、流れそのものでしかない。
その流れの中で、私たちの身体は変わりつつ、かろうじて一定の状態を保っている。その流れ自体が「生きている」ということなのである。
……ここで私たちは改めて「生命とは何か?」という問いに答えることができる。「生命とは動的平衡にあるシステムである」という回答であ
 る。(P.261~262)

◇生命の動的平衡は絶え間のない合成と分解を行っている。いや、むしろ合成することよりも、分解することのほうを絶えず優先している。
(P.294)

◇生命、自然、環境――そこで生起する、すべての現象の核心を解くキーワード、それが《動的平衡》(dynamic equilibrium)だと私は思う。
(P.315)

 どうでしょう、皆さん。上記引用中の“生命”を“クラブ”に置き換えたら、「ソラティオーラとは何か?」、「100年クラブへ向けて、私たちは何をすべきか」ということのヒントが見えてくるのではないでしょうか。私たちの体を構成している何十兆もの細胞がどんどん生まれ変わっていくように、クラブを構成しているプレーヤーもコーチもスタッフもサポーターもどんどん入れ替わっていっても、というよりどんどん入れ替わっていくことでクラブとしての“動的平衡”が維持されていくということなのでしょうか。
 一方で、私たちの体を構成している何十兆もの細胞すべてに同一のDNAが組み込まれていて、個々の細胞が生まれ変わっていってもDNAは基本的には受け継がれていきます。ソラティオーラが受け継いでいくべきDNAとは何なのだろうか、生まれ変わっていくべきことは何なのだろうか、皆さんと一緒にこれからも考え続けていきたいと思います。
 ソラティオーラは、生命体とおなじように生きているのですから。



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