2013年01月09日

たいへん遅くなりましたが、スペイン遠征報告です。

海南FCスペイン遠征報告


総合型地域スポーツクラブ ソラティオーラ和歌山

理事長 奥野修造(海南FCスペイン遠征団代表)


 海南FC創設40周年記念事業の総仕上げとして、中学1年生(2011年度)12名、同2年生6名、コーチ3名の合計21名で、3月30日~4月6日の6泊8日の日程でスペイン・バレンシアを訪問した。この間、バレンシアCFの育成コーチによるクリニック、現地クラブとの交流試合、バレンシアCFのホーム・スタジアムであるメスタージャでのリーガ観戦、バレンシア市内観光などすべてのイベントをコーディネイトしていただいた中谷吉男氏の尽力により、まさに〝百聞は一見に如かず〟そのもののスペイン・サッカー体験、異文化体験を体感することができた。
 現地時間の3月30日(金)深夜バレンシアに到着し、翌31日早速バレンシアCFのトレーニング・センターを訪問した。トップ・チーム用のスタンド付きの練習会場は外からは中の様子が伺えないように周囲に幕が張られていた。その他にフルサイズのピッチが3面、30×50mくらいの7人制用の人工芝ピッチが10面くらいあっただろうか。そこでは小学生年代のリーグ戦が次々とおこなわれていた。
 4月1日(日)は、午前にバレンシアCFの育成コーチによるクリニックを受けた後、リーガのバレンシア・ダービーであるバレンシアCF対レバンテの試合をメスタージャ・スタジアムで観戦した。ヨーロッパ各地には超近代的なスタジアムが建設されていて、バレンシアでも新スタジアムが建設中であるが、ここメスタージャはそれとは対照的に歴史を感じさせてくれる〝古さ〟が私には魅力的であった。スタンドを埋め尽くした観客と言うよりはサポーターが一つ一つのプレーや判定に反応し、ピッチとスタンドの境目なく、自分もすでにその一部と化してしまっているスタジアム全体が一つの生命体として躍動するかのような不思議な感覚に取り込まれていく。この感覚は、日本国内ではもとより82年スペイン、06年ドイツのワールド・カップを観戦した時にも感じなかったものであった。
 4月2日(月)、メスタージャのスタジアム内部の見学ツアーに参加した。選手たちのロッカー・ルーム、プレス・ルームなどを回った後、階段を登っていってピッチ・サイドに立つ。昨日は一つの有機体としてスタジアム全体が生きているかのような感覚を覚えたなまなましい記憶と、今日の静けさとのコントラスト、さらにこの対比を何十年となく繰り返してきた歴史と言うより波の繰り返し、私が個人的にも今回の遠征に求めていたものの一つの解がここにあった。バレンシアに来て良かったと思った。
 しかし、今回遠征のクライマックスはメスタージャの外にあった。2日午後は、スペイン遠征最初の親善試合を地元クラブとおこなった。敬意を表してクラブ名をカタカナで標記すると、「CFアトレティコ・バリオ・デ・ラ・ルス」となると思う。そのクラブは、バレンシア郊外のどちらかと言えば場末の雰囲気も感じる住宅地の一角にあった。私たちのバスはブロック塀に囲まれたピッチ横に着いた。ピッチの様子はバスからは分からない。クラブ・ハウスか事務所か倉庫か判然としない建物はあった。バスを降りて、一人ずつ通れるくらいの鉄製の扉を開けて中に入って驚いた。外の様子からは絶対想像できない人工芝の素晴らしいピッチだ。しかも、後から分かったことだがスプリンクラー付きだ。それに引き換え、クラブ・ハウスは外から見えたとおり古めかしかった。中に入れてもらってまた驚いた。ロッカー・ルームはホーム用、ビジター用それぞれ二部屋ずつ、計四部屋。しかも、一部屋ごとにシャワー・ルームとトイレが付いている。どうなっているのだ、このクラブは、スペインのサッカーは? 文字通りカルチャー・ショックの連続だった。
 キック・オフの直前にはスプリンクラーで散水。いつの間にか子どもから大人まで百人以上の観客がピッチを取り巻いている。スポーツ紙の記者も取材に来てくれていた。試合は3-0で勝った。ホッとしていると、これから〝メリエンダ〟だ、ロッカー・ルームの隣の建物に来いと言う。選手たちがシャワーを使わせてもらい、着替えてからその場所に行くと、そこは飲み物を出すカウンターもある喫茶室のようなところだった。テーブルの上には、チーズ、生ハム、トルティージャなどなどがいっぱいに並べられての歓迎会であった。両クラブの選手たちが入り混じって座り、日本語とスペイン語でしゃべりあっている。相手クラブの選手の一人が「海南FCのサッカーはバルセロナのようにパスを回した。」と言ってくれたらしい。感激だ。私たちは、中谷氏を通訳に相手のクラブのスタッフに心からのお礼を言う。再会を約束して名残を惜しんだ。この体験が今回のスペイン遠征のクライマックスであった。
 4月3日(火)、4日(水)は市内観光やショッピングと地元クラブとの親善試合をおこなった。いずれも有意義な時間をすごすことができたが、2日(月)の印象が強烈過ぎた。登山紀行でも登頂後のことは書きにくいだろう。パスポート紛失未遂事件、スーツケースの破損などいくつかのトラブルはあったが、十分すぎる体験を持って全員無事に帰国できたことは、中谷吉男氏、バレンシアのルイス氏、株式会社ラックマンのスタッフはじめ、直接的には私たちが存じ上げないたくさんの方のご支援の賜物と感謝しています。本当にありがとうございました。
 最後に、スペイン遠征全体を通じて、私が感じたことを三点記させてもらい報告とします。
1.生活にサッカーが根付いているということは、すべての生活をサッカーにかけるということではないと感じた。根付いているがゆえに、他の生活の要素もサッカーと同じように大切にしているのではないかと想像した。反対に、日本ではまだまだ根付いてはいないがために、すべてをサッカーにかけてしまうような傾向があるのではないだろうか。
2.参加した選手たちからは、日常生活を離れるとよけい「指示待ち」・「受身的」という傾向を感じる。ピッチの上だけでなく、生活の中で次は何をすべきか、どんな準備をすべきか、それは何のためにするのか、自分は何をしようとしているのか、といった主体的・自主的なエネルギーを感じることが少ない。一概に欠点や弱点とは思わないが、もう少し自己主張する力や主体判断能力を身に着けても良いと思う。
3.人間の精神的成長は、〝知らない世界を知りたい〟という欲求が出発点だと思う。それは、自分には〝知らない世界〟が存在するということを想像することからはじまる。もし〝知らない世界が〟あるということを知っているとすれば、それはすでに〝知らない世界〟ではない。自分はすでにすべてを知っていると思う、しかし、ひょっとしたら知らないということすら〝知らない世界〟があるのかも知れないと考えられるかどうかということだ。それはサッカー界の言葉におきかえれば、「コーチは学ぶことをやめたら教えることをやめなければならない」ということであるし、選手は指導されることにひたすら〝素直〟になるということであると思う。                      以上
  


Posted by Okuno at 09:51Comments(0)メッセージ

2013年01月09日

今年もよろしくお願いします。

 理事長のブログ・ページを開設してもらいながら、初めて記事を掲載するのが、年が明けた今になってしまいました。
 みなさん、明けましておめでとうございます。今年もどうかSOLATIORA&KFCをよろしくお願いいたします。
 これから折に触れて、クラブの運営の中やサッカーに取り組んでいる中で感じたり考えたりした事をこのページに掲載していきたいと考えています。
 どうかよろしくお願いいたします。

奥野修造
  


Posted by Okuno at 09:33Comments(0)メッセージ